カメムシが大量発生するのはなぜ?5つの主な原因を解説
カメムシは年によって発生数が大きく異なる昆虫です。なかでも「大量発生」と呼ばれる現象は、特定の環境条件がそろったときに起こります。まずはその主な原因を理解しましょう。
原因①:カメムシの産卵サイクルと繁殖時期
カメムシは、前年に生まれた成虫が冬を越えて春先に活動を再開し、5月下旬〜8月にかけて産卵します。特に初夏は産卵とふ化が重なるため、短期間で個体数が急増しやすい時期です。
このタイミングでの天候や気温がカメムシにとって好条件であれば、爆発的に数が増える可能性があります。つまり、「前の年にカメムシが多かった年は、翌年も大量発生しやすい」ということです。
原因②:暖冬がカメムシの越冬を助ける
近年の地球温暖化の影響による暖冬傾向は、カメムシの大量発生リスクを高める要因の一つです。通常は冬の寒さで多くの個体が死滅しますが、冬が暖かいと生き残る個体が増え、翌春の個体数が多くなります。
越冬したカメムシたちは、気温が上がると一斉に活動を開始し、繁殖期に突入。結果として大量発生につながるのです。
原因③:高温傾向で成長スピードが加速する
昆虫であるカメムシは変温動物のため、気温が高いほど体の活動が活発になり、成長や繁殖のスピードも早まります。
特に、春先から夏にかけて気温が平年よりも高い場合には、カメムシの生育が早まり、産卵回数が増える可能性が出てきます。1匹あたりの産卵数が増えることで、結果的に個体数の爆発的な増加を引き起こします。
原因④:スギ・ヒノキの豊作年が引き金に
カメムシの一部の種類(特にクサギカメムシ)は、スギやヒノキの実(種子)を餌とするため、これらの木が豊作となった年には、食料が豊富になり、大量発生につながります。
年 | スギやヒノキの実の実り具合 | カメムシの発生傾向 |
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豊作年 | 種子が豊富で餌に困らない | 繁殖成功・大量発生の可能性大 |
不作年 | 餌が少なく、繁殖に影響 | 発生数は比較的落ち着く |
また、スギ・ヒノキの実りは「裏年」と「表年」で交互に訪れることが多く、表年にはカメムシの発生にも注意が必要です。
原因⑤:森林整備不足によるスギ・ヒノキの過密化
日本各地で森林の手入れが行き届かなくなっていることも、カメムシ大量発生の背景にあります。森林整備がされないと、スギ・ヒノキが過密に育ち、花粉や種子が大量に生産されやすくなります。
その結果、餌を求めるカメムシにとっては絶好の繁殖環境となり、数が増えやすくなるのです。
カメムシの大量発生に備える!おすすめの6つの予防・対策法
カメムシが大量発生する年は、家の周りやベランダ、網戸、洗濯物などに多くのカメムシがつくことになります。嫌な臭いを出す虫だからこそ、早めの対策が重要です。
①凍結スプレーで直接駆除|潰さず臭いも出さない
カメムシは刺激すると臭いを発するため、直接手で触れたり潰すのはNGです。そこでおすすめなのが、瞬間冷却で駆除する凍結スプレーです。
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噴射すると-85℃前後の冷気で即座にカメムシを仮死状態に
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潰さないので臭いが出ない
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天井・網戸・壁にとまった虫にも使いやすい
市販品では「カメムシ凍結ジェット」などが人気です。
②ハッカ油やミントの香りで寄せ付けない
カメムシはミントやハッカなどの清涼感ある香りを嫌う性質があります。そのため、天然成分で安心なハッカ油スプレーや、ミント系の植物をベランダや玄関周りに置くと忌避効果が期待できます。
ハッカ油スプレーの作り方(目安)
材料 | 分量 |
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水 | 200ml |
ハッカ油 | 10滴 |
無水エタノール(任意) | 5ml |
このスプレーを網戸・玄関・ベランダの手すりなどに定期的に散布しましょう。
③紫外線を含まない照明に変える
カメムシは光に集まりやすい習性を持ち、とくに紫外線を含む照明に強く反応します。そのため、照明を紫外線カットLEDに変更することで、カメムシが寄ってくるのを減らすことができます。
おすすめ対策:
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玄関灯を白熱灯からLEDに変更
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屋外照明をセンサー付きにして必要なときだけ点灯
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夜間、不要な照明は極力オフにする
特にアパート・マンションなどの共有部でも照明を控えめにすると、集合住宅全体への飛来を減らせます。
④家の隙間や裂け目を塞ぐ「物理バリア」
カメムシは、2mm程度の小さなすき間からでも侵入してきます。網戸と窓の間や玄関ドアの下、換気扇や配管まわりなど、盲点になりがちな場所をチェックして、すき間テープやパテでふさいでおくことが重要です。
すき間対策の例:
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サッシのすき間に防虫テープを貼る
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ドアの下に隙間風防止のモヘア材をつける
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換気扇の外側に防虫ネットを装着する
補足:カメムシは壁の中や床下など、人目につかない場所に潜む性質もあるため、侵入されると駆除が大変です。未然に防ぐのが一番の対策です。
⑤洗濯物の管理もカギ!持ち込みリスクを減らす
カメムシが洗濯物にくっついて家の中に入ってしまうケースもよくあります。大量発生している年は、特に注意が必要です。
洗濯物対策:
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取り込む前に全体をよく振る
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洗濯ネットをかけて虫の付着を防止
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白い衣類は外干しを避ける(カメムシは白いものに寄る傾向あり)
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柔軟剤の香りも虫を引き寄せる可能性があるため控えめに
⑥プロの防除サービスを利用する
どうしてもカメムシが多すぎて手に負えない場合は、害虫駆除の専門業者に依頼するのも一つの手です。特に一戸建てや山間部・林近くの住宅では、プロの手による防除作業が効果的です。
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外壁全体への忌避スプレー施工
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屋根裏や床下の隠れた侵入ポイントの封鎖
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季節前の予防スプレー施工(特に秋)
まとめ|カメムシの大量発生は予測と対策で防げる!
カメムシの大量発生は、気象条件や森林環境、産卵サイクルが複雑に絡み合って起こります。一度大量に発生してしまうと、臭いと不快感で生活に大きな影響が出るため、できるだけ早めの予防がポイントです。
この記事のまとめ
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カメムシ大量発生の原因は、暖冬・高温・繁殖サイクル・スギの豊作など複合的
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凍結スプレーやハッカ油などの対策を組み合わせることで、発生時の被害を軽減
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隙間封鎖や照明変更など、日常生活の工夫で飛来を抑えられる
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予防は秋から冬の時期がベストタイミング
「今年はカメムシが多いかも…」と感じたら、早めの対策を始めましょう!