夜、浴室や玄関先で暗がりにチラリと見えた細長いシルエット。
思わず「これ、なんだっけ…?」と足を止めることはありませんか?
ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジは見た目が似ているためつい混同されがちですが、毒性や生態は大きく異なります。
どれも湿気を好み、家のすき間からひそかに侵入してくる点では共通していますが、咬まれたときのリスクや駆除すべき度合いが違うため、正しい知識を持って対処することが大切です。
この記事では、3者の毒性や特徴を比較し、安全に暮らすためのポイントを具体的に解説します。
毒性の比較とリスクレベル
ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジはそれぞれ毒の強さや人体への影響に差があります。
以下の表で毒性の程度、典型的な被害例、対処の優先度をまとめました。
| 種類 | 毒性の強さ | 被害例 | 対処の優先度 |
|---|---|---|---|
| ムカデ | 高い | 咬まれると激しい痛み、腫れやアレルギー反応 | 最優先 |
| ヤスデ | ほぼ無毒だが刺激性あり | 体液に触れるとかゆみや炎症 | 中程度 |
| ゲジゲジ | ほとんど無毒 | 咬まれても軽い痛み程度、むしろゴキブリ捕食 | 低め(見守り可) |
ムカデの毒性と注意点
毒性のメカニズムと症状
ムカデは肉食性で、獲物を咬みつく際に強力な毒腺から毒液を注入します。
一度咬まれると激痛が走り、患部は赤く腫れ上がることがあります。
場合によっては頭痛や発熱、アレルギー反応を伴い、重症化すると医療機関での処置が必要です。
生態と侵入経路
湿った石の下や落ち葉のなかを好むムカデは、家屋の外壁のひび割れや床下のすき間から侵入します。
夜行性で暗い場所に隠れるため、夜間に人が足を踏み入れると衝突しやすく、思わぬ咬傷につながります。
安全な駆除方法
素手で触れず、ふつうの殺虫スプレーや専用のムカデ駆除剤を使用します。
侵入口はシーリング材やコーキング剤で密封し、壁のひび割れや床のすき間を防ぎましょう。
大量発生や巣の特定が困難な場合は専門の駆除業者に依頼するのが安心です。
ヤスデの刺激性と対策
体液による刺激と症状
ヤスデ自体に強い毒はありませんが、驚かされたときに分泌する体液には刺激成分が含まれ、皮膚に触れるとかゆみや軽い炎症を引き起こすことがあります。
直接つかむと洋服や手に臭いが残るため、手袋やほうきを使って安全に扱いましょう。
生態と発生原因
腐葉土や落ち葉を食べる草食性のヤスデは、庭先の植木鉢周りやプランターの下などに集まりやすい虫です。
家屋内に入り込むことは少ないものの、大量発生すると不快感が増すため、屋外の清掃と換気が効果的です。
駆除と予防ポイント
庭先の落ち葉や枝をこまめに片付け、水はけを良くして湿気を抑えます。
室内に入り込んだ個体は掃除機で吸い取り、ポリ袋に密閉して処分すると安心です。
ゲジゲジの益虫的役割と扱い方
ほとんど無毒な理由
ゲジゲジはムカデの仲間とも言われますが、毒性は非常に弱く、人を襲うことはほとんどありません。
むしろゴキブリやクモを捕食する益虫として、室内の害虫抑制に一役買ってくれる存在です。
生態と好む場所
暗くて湿った場所を好み、家屋の軒下や物置、浴室の隅などにひそみます。
人目につきにくいですが、夜間に動き回るため、ドアを開けた瞬間に飛び出して驚くことがあります。
共存か捕獲か
害虫駆除の観点からは共存も一案ですが、不快に感じる場合はほうきとちりとりでそっとすくい、屋外へ逃がすのが安全です。
ふだんは放置しても問題ありません。
毒性の違いを踏まえた優先対策
ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジは見た目こそ似ていますが、毒性や生態がまったく異なります。
咬傷リスクの高いムカデは最優先で侵入口を封鎖し、駆除を。
ヤスデは皮膚への刺激を抑えるために環境整備を行い、適切に回収。益虫としての顔を持つゲジゲジは必要に応じて捕獲して逃がすことで、無用な恐怖や被害を避けられます。
それぞれの特徴を理解し、安全で快適な住まいづくりにお役立てください。

